ストラディヴァリウス盗難事件

2017/03/06
ストラディヴァリウス盗難事件
雑学 楽器

盗まれた名器



至高の芸術品は人の心を狂わせる力があるのか、はたまた単純にその天文学的な金銭価値に目が眩むのか、多くの逸品が盗難の憂き目に遭っています。

有名な例として、1911年のモナ・リザ盗難事件が挙げられます。
イタリア愛国者である犯人が、イタリア人の描いた作品はイタリアで展示されるべきだとう動機で、ルーブル美術館の清掃用具の中に隠れて閉館後に絵を持ち出しました。
結局2年後の1913年にフェイレンツェの美術館に売却しようとした所から足がつき逮捕されましたが、当時はもうモナ・リザは戻らないだろうという憶測が広がっていました。

音楽の世界でも骨董品的な価値を持つ楽器が多くの盗難被害に遭ってきました。
なかでも億単位の金額で売買されるストラディヴァリウスは恰好のターゲットです。

ひとつの例を紹介しましょう。
名ヴァイオリニストとして名を馳せたロマン・トーテンベルク氏はアメリカの音楽学校で教壇に立っていました。
そして1980年、トーテンベルク氏の教務員室から6億円相当のストラディヴァリウスが姿を消したのです。

そのショックは想像を絶するものだったでしょう。
それは金額的な損失という側面よりも、演奏家にとって愛器を失うということはひとつの表現を失うことに繋がるからです。

トーテンベルク氏は101歳という天寿をストラディヴァリウスが返ってくることを待ちながら、しかしとうとう叶うことなく2012年に全うします。

そしてその3年後の2015年。
2011年に死去した音楽家の妻が自宅で鍵のかかったケースを発見します。
そのケースの中から発見されたヴァイオリンを専門家に見てもらったところ、その木目から1980年にトーテンベルク氏のもとから姿を消したストラディヴァリウスであることが確認されたのです。

トーテンベルク氏は生前にその音楽家が怪しいということを言っていたそうですが、確たる証拠もなく捜査が行われなかった為、再び愛器と再開することはできませんでした。
ストラディヴァリウスはその音楽家の妻からトーテンベルク氏の娘に返却されましたが、やはり間に合わなかったという思いが強かったそうです。

今回紹介した以外にもストラディヴァリウスの盗難事件は起こっています。
やはり人間の一生を超える時間を乗り越えて何人もの演奏家の手を渡り、数え切れないほどの人の耳に感動の記憶を残してきたヴァイオリンですから、魔が差してしまうのも無理ないことなのかもしれません。

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