ベートーヴェンの難聴の原因

2016/11/18
ベートーヴェンの難聴の原因
雑学

現在主要な説



ベートーヴェンの遺書』にてベートーヴェンが難聴を苦にして死まで考えたというお話をしました。
一体ベートーヴェンの難聴の原因は何だったのでしょうか。

いくつかの説を紹介します。
まずは『ベートーヴェンの父』で紹介した父によるスパルタ教育の影響です。
経済的に困窮したベートーヴェンの父はモーツァルトの成功に習い、ベートーヴェンを神童と呼ばれる音楽家に育てようと目論みます。
その教育は苛烈を極め、ベートーヴェンが稚拙な演奏をすれば殴ることも厭わなかったそうです。
結果耳に負ったダメージから難聴へ繋がっていったという説ですが、少年期から発症までにかなりの時間的隔たりがあることから信憑性は微妙です。

次に梅毒による難聴説です。
梅毒の症状として難聴があること、癇癪を起こしやすかったベートヴェンの精神状態を梅毒による精神疾患で説明できることなど、信憑性の高い説として伝わっていました。
しかし『ベートーヴェンは1日に3リットルのワインを飲んでいた?』で言及した通り、多量の鉛は検出されたものの、この当時梅毒の薬として使われていた水銀がベートヴェンの遺髪から検出されなかったことから、近年覆されることとなります。

次にその多量に検出された鉛中毒による難聴説です。
ベートヴェンが鉛中毒であったことはほぼ間違いのないことですが、鉛中毒により難聴になるというケースは0ではないにしろそこまで多くはないようです。
健康被害は間違いなくあったにせよ、難聴の原因としては主要な説には至っていないのが現状です。

現在最も有力な説とされているのは、耳硬化症による難聴という説です。
耳硬化症というのは音の振動を伝えるあぶみ骨が固まってしまい、音が聞こえにくくなってしまうという病気です。
この説の証左として、ベートヴェンが人の声は聞こえないものの、甥の弾くピアノの間違いを正確に指摘したことが挙げられます。
耳硬化症は人の声は聞こえないものの、ピアノなどの高音部の振動は拾うことができるという特徴があり、晩年のベートヴェンが歯にスティックを咥え、反対側をピアノに触れさせることで音を聞いていたということも説明がつきます。

またおもしろい説として、実はベートーヴェンは耳が聞こえていながら聞こえないふりをしていたというものがあります。
ベートーヴェンが筆談をしていたのは有名な話ですが、それは難聴の為ではなくベートーヴェンは実はナポレオンのスパイで、盗聴を恐れて筆談をしていたというのです。
リストの演奏を聴いてリストを高く評価していること、筆談帳に「あなたの声は大きすぎる。」とか「ここにはスパイがいる。」などの記述があったことを証左としているようです。

ベートーヴェンの難聴の原因がこの中にあるかもしれませんし、複合的な要因かもしれませんし、まったくの見当違いかもしれません。
偉人は日常すらも伝説になるものですが、これだけ多くの説が出ること自体がベートーヴェンの偉大さを物語っている気がします。

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