前奏曲で完結した作品

2016/10/27
前奏曲で完結した作品
雑学 楽曲

牧神の午後への前奏曲



ドビュッシーの出世作である『牧神の午後への前奏曲』。
これはドビュッシーが敬愛し、親交のあった詩人マラルメの『牧神の午後』にインスピレーションを得て作曲された作品になります。

牧神というのはギリシャ神話に登場するパーンという神で、山羊のような足と角を持ち、好色で昼寝好きな神様だったようです。
またパンパイプと呼ばれる笛を好み、人間には不気味に聴こえる音楽を奏でていました。

『牧神の午後への前奏曲』はそんなパーンが、まどろみの中で精霊たちとの官能的な体験について自問自答する様を音楽で表現した傑作ですが、不思議なことに前奏曲と銘打たれているのにその続きが存在しません。
交響詩とは?』で紹介したリストの『前奏曲』のように、「人生はすべて死への前奏曲にすぎない」という標題から取ったなどの理由があるなら分かりますが、ドビュッシーの場合はそうでもないようです。

実はこの作品は元々3部構成の長大な作品として構想されており、ブリュッセルで初演される予定までありました。
しかし前奏曲の完成後に一切筆が進まなくなってしまい、頭を悩ませ続けたドビュッシーですが、どうしてもその続きが出てきません。

ブリュッセルでの初演予定が流れてしまった後も作品の完成に向かってオールを漕ぎ続けますが、まったく前に進んでいかない状況をみてはたと気付きます。
「この作品はもう既に完成しているのだ。」と。
前奏曲をもって完成した作品である為、タイトルを『牧神の午後への前奏曲』とし無事にパリで初演を迎えました。

この作品はパーンの笛を想起させるフルートが重要な役割を担っており、楽器の構造上響きが悪いとされるC♯音からあえて始めることでまどろんだ様な独特の雰囲気を表現するなど、印象主義音楽の語法を確立した作品としても歴史に名を残すこととなりました。

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