音の仮装パレード

2016/10/24
音の仮装パレード
雑学 楽曲

謝肉祭



秋も深まり、ハロウィンの季節が近づいてきました。
本日はそんな時節に適した、音に仮装をさせたという作品をひとつ紹介します。

日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、謝肉祭という言葉を知っていますでしょうか。
カーニバルという言葉は聞き覚えがあるかもしれませんが、これは肉を取り除くという俗ラテン語に由来しており、謝肉祭の訳になります。

謝肉祭はキリスト教において、キリストの受難に模した断食の前に行われる宴に起源を持っており、現在は仮装パレードやお菓子を投げるといった行事が行われています。
この謝肉祭、実はクラシック音楽の題材としても多く使われています。

本日紹介するのはシューマンの謝肉祭。
全20曲からなる作品ですが、編集者もやっていたシューマンらしい仕掛けの多い作品です。

この作品には"4つの音符による面白い情景"という副題がついており、ASCHの4音、As(ラ♭)C(ド)H(シ)、A(ラ)Es(ミ♭)C(ド)H(シ)の音列に基づいています。
このASCHはドイツ語表記でアッシュと読み、シューマンと想いを通い合わせるも、相手の父によって仲を裂かれてしまった忘れられない女性の出身地から取られています。

そんなシューマンの切ない心情に反するかのように、この作品には面白い仕掛けが施されていて、作品の中でASCHの種明かしを行うのです。
第8曲と第9曲の間にSphinxes(スフィンクス)という箇所があるのですが、「このスフィンクスは演奏しない」という注釈が書かれています。
そこには見たことのない音符を用いて、ASCHの音列がはっきりと示されているのです。
基本的には演奏されることはない部分ですが、演奏者によっては自身の解釈で演奏する方もいるようです。

素顔を隠す仮装のように、音に仮装をさせて断たれた想いを表現したシューマン
謝肉祭の仮装パレードに乗って相手の元へと届く、ということはありませんでしたが、とてもシューマンらしいウィットに富んだ作品ですね。

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