作品の改訂を続けたストラヴィンスキーの裏事情

2016/09/13
作品の改訂を続けたストラヴィンスキーの裏事情
雑学

改訂の理由



混乱の舞となった春の祭典の初演』で紹介した、20世紀を代表する作曲家イーゴリ・ストラヴィンスキー
大学入学後に音楽理論を学ぶという遅咲きの作曲家でしたが、ストラヴィンスキーの三大バレエと言われる初期の作品、『火の鳥』、『ペトルーシュカ』、『春の祭典』にて絶大なる富と名声を獲得しました。

大変な人気を博した3作品ですが、ストラヴィンスキーはこの3作品の全てに大なり小なりの改訂を幾度となく加えています。
いったい何故でしょうか。

まずはバレエ音楽であったこの3作品を演奏会で演奏しやすいようにするためというのが挙げられます。
バレエ音楽とは言えども、当然音楽だけで演奏されることも多くあるのでその最適化の為の改訂ということですね。

また自身の作品への思い入れが強かったストラヴィンスキーは徐々に自身で指揮棒を振るようになるのですが、当然プロの指揮者と比べると技術は見劣りします。
しかも『春の祭典』に代表されるように自身の曲は拍子を正しく取ることが難しい為、指揮を振りやすくする為の改訂もあったようです。

さらに自身の作品への思い入れが強いということは、自作の演奏を聴くたびに納得できない部分が出てくるということでもあります。
作曲当時ではなく、現時点での最高を追い求めていった結果、改訂が多くなったという背景もあります。

最後に最も有名な説を紹介します。
三大バレエに代表される大成功にて大きな富を築いたストラヴィンスキーですが、1917年にロシア革命が勃発すると、革命政府に財産を没収されてしまいます。
革命前に発表している作品についてもその多くがロシアの出版社から出版されていた為、著作権を行使することが出来ずヨーロッパ各地を点々とする生活が3年ほど続きました。

やがて第二次世界大戦が勃発すると、身の危険を感じたストラヴィンスキーはアメリカに亡命しますが、以前に発表した作品の著作権はまだロシアの出版社にある状況でした。
そこでストラヴィンスキーは自作を改訂しては再出版することで、著作権を再度獲得することを目論んだのです。

この目論みは成功し、以後アメリカでは著作権問題をストラヴィンスキーの例に習い学ぶようになります。

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