バッハの華麗なる一族

2016/06/29
バッハの華麗なる一族
雑学 人物

バッハ一族の系譜



バッハ一族の中で最も有名なバッハ、ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
ここでは紛らわしいので大バッハと呼びましょう。
この大バッハは生前、バッハ一族についてまとめた『音楽家バッハ一族の起源』というものを作成していました。

ここの記述によるとバッハ一族はハンガリーに起源があるようです。
テューリンゲン州へ亡命してきた大バッハの先祖ですが、そこからテューリンゲン州でバッハといえば音楽家を指すほどまでに、優秀な音楽家としての家系を築き上げていきます。

しかし一族の祖であるファイト・バッハは音楽家ではなく、パン焼き職人でした。
ただそうは言ってもバッハ一族の祖です。
粉挽き小屋にチターという楽器を持ち込んではよく演奏をしていたようです。

そしてこのファイト・バッハの息子、ヨハネス・バッハがバッハ一族初めの職業音楽家となります。
大バッハから見ると曽祖父にあたる人物です。

ファイト・バッハにはもうひとり、リップス・バッハという息子がいますが、そちらの系譜も当然のように優秀な音楽家を輩出しており、大バッハが一族の中で一番高い評価をしていたヨハン・ルートヴィヒ・バッハはこのリップス・バッハの曾孫にあたります。
ヨハン・ルートヴィヒを高く評価していた大バッハは、彼のカンタータに筆を入れて上演するということも行っていた為、ヨハン・ルートヴィヒの作なのに大バッハの作品として扱われているものもありました。

少し話が前後してしまいましたが、バッハ一族最初の職業音楽家であるヨハネス・バッハの息子たちを見ていきましょう。
ヨハネス・バッハにはヨハネス・バッハ、クリストフ・バッハ、ハインリヒ・バッハという3人の息子がいましたが、この中のクリストフが大バッハの祖父にあたる人物です。
ヨハネス、ハインリヒも優秀な音楽家を多数輩出しており、ヨハネスの系統をエアフルト系統、ハインリヒの系統をアルンシュタット系統と言います。

アルンシュタット系統と呼ばれたハインリヒにはヨハン・クリストフ・バッハとヨハン・ミヒャエル・バッハという2人の息子がおり、ヨハン・クリストフは作曲家として唯一大バッハに比類する名声を得た作曲家です。
現在、大バッハの作として知られている作品の中にはこのヨハン・クリストフの作がいくつか混ざっているのではないかと言われています。
またもう1人の息子、ヨハン・ミヒャエルは大バッハの初めの妻であるマリア・バルバラの父にあたりますので、大バッハは遠戚と結婚をしていたことになりますね。

では大バッハの父、ヨハン・アンブロジウス・バッハはどのような人物だったのでしょうか。
先ほど紹介したクリストフの息子にあたるヨハン・アンブロジウスですが、彼は双子の弟でやはり音楽家として活動していました。
音楽家としてはそこまでの名声を残していないヨハン・アンブロジウスですが、何より大バッハの父として今に残る名声を獲得しています。
またパッヘルベルのカノンでお馴染みのパッヘルベルとも親交があったようです。

そして誰しもがご存知の大バッハことヨハン・ゼバスティアン・バッハ
彼の偉大さについては改めて触れるまでもありませんが、古典派音楽の時代には忘れ去られた存在となっており、むしろ彼の息子たちの方が高い名声を獲得していました。

バッハの子供たち



まずは大バッハの長男であるヴィルヘルム・フリーデマン・バッハ。
大バッハに最も目をかけられて育ち、今日のピアニストの卵たちが弾いているバッハの練習曲も大バッハがこのヴィルヘルム・フリーデマンのために作曲した練習曲です。
豊かな才能に恵まれたヴィルヘルム・フリーデマンですが、大バッハの必要以上の溺愛が災いしたのか、なかなかひとつの職に安住せず、最終的には放浪生活の末にその生涯を終えています。
別名「ハレのバッハ」、「ドレスデンのバッハ」と呼ばれます。

そして次男のカール・フィリップ・エマヌエル・バッハ
大バッハの息子たちの中ではおそらく最も高い名声を得た音楽家でしょう。
フリードリヒ2世に仕え宮廷楽団員として活躍しただけでなく、作曲においても父である大バッハより名付け親であるテレマンに影響を受け、古典派のようなホモフォニーの美しい旋律の作品を多く作曲した為、古典派を代表するハイドンモーツァルトに多くの影響を与えました。
別名「ベルリンのバッハ」、「ハンブルクのバッハ」と呼ばれます。

次に後妻の息子で第9子にあたるヨハン・クリストフ・フリードリヒ・バッハ。
音楽家として活躍した大バッハの4人の息子の中では一番地味な存在ですが、クラヴィーア演奏は兄弟の中でも最も巧かったそうです。
父である大バッハ、兄のカール・フィリップ・エマヌエルモーツァルトと影響を受けた人物によって年々作風が変わっていきましたが、高い評価を得るには至りませんでした。
しかしバッハ一族の最後の音楽家であるヴィルヘルム・フリードリヒ・エルンスト・バッハの父である為、系譜的には重要な人物となりました。
別名「ビュッケブルクのバッハ」と呼ばれます。

そして最後に末っ子であるヨハン・クリスティアン・バッハ。
バッハ一族としては唯一、オペラ作曲家として名を成した人物です。
トリノで最初のオペラ『アルタセルセ』が上演されると、ロンドンからオペラ作曲の依頼が舞い込むようになり、ロンドンに定住しロンドンで最も有名なオペラ作曲家となりました。
さらにモーツァルト一家との親交で知られ、ロンドン滞在中の幼いモーツァルトの才能を見出すと、共にクラヴィーアを弾いたり作曲の指南を行ったりしました。
実際にモーツァルトの作品にはヨハン・クリスティアンの影響も見られ、古典派音楽への潮流を形作るきっかけとなっています。
別名「ロンドンのバッハ」と呼ばれます。

残念ながらこの華麗な音楽一族の系譜も大バッハの孫であるヴィルヘルム・フリードリヒ・エルンスト・バッハ、先に触れたヨハン・ルートヴィヒの孫であるヨハン・フィリップ・バッハで終わっています。
しかし今でも人気が衰える気配がないところを見ると、ある意味不滅の一族と言えるかもしれませんね。

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