バッハとヘンデルの失明に関わった眼科医

2016/06/16
バッハとヘンデルの失明に関わった眼科医
雑学

バッハの光



バロック時代の巨匠であり、音楽の父とも謳われるバッハですが、晩年に視力が衰えていたことは有名な話です。
その原因は若い頃に月明かりの下で楽譜の書き写しを長い間続けたことによる目の酷使と言われたり、白内障や糖尿病に起因する眼病とも言われています。

作曲家にとって、いや作曲家に限らず誰しもに言えることですが、視力の低下というのは普通の生活ですらとても困難なものにしてしまいます。
晩年のバッハにとって、視力の回復は念願とも言うべきものだったでしょう。

そんなバッハの住むライプツィヒにある著名なイギリスの眼科医が訪れます。
名をジョン・テイラーといいます。
テイラーはヨーロッパの数々の王室の公認を謳っていましたが、それは彼のスキルによるものではなく、自己喧伝の賜物であったそうです。

当時の医療ではただでさえ難しい眼の手術を、技術ではなく話術で名声を高めた医者に任せるのは危険極まりないことですが、そんなことは露とも知らないバッハにとっては渡りに船であったことでしょう。
バッハは眼の手術をこのテイラーに依頼します。

二度に渡った手術の結果は失敗。
バッハの光は完全に失われ、残ったのはとてつもない眼痛と手術の影響による合併症でした。

老年のバッハにはとても耐えられたものではなく、手術の3ヶ月後にこの世を去ることになります。

ヘンデルの光



バロック時代のもう一人の巨匠と言えばヘンデルでしょう。
奇しくも同年に生まれた二人の大作曲家は晩年、同じように視力の低下に悩まされます。
ヘンデルの場合は緑内障が原因というのが通説になっていますが、左目の視力を失った後に右目の視力も奪われていきました。

どの医者にも回復の見込みはないと匙を投げられる中、最後に頼ったのがご存知ジョン・テイラーです。
テイラーはバッハと同じ手術をヘンデルに対しても行いますが、結果はまたしても失敗、ヘンデルの光も完全に奪われることとなってしまいます。
そしてヘンデルも手術の翌年に帰らぬ人となってしまいました。

バッハヘンデルは同時代に活躍した作曲家ですが、実際に対面することはなかったようです。
バッハヘンデルに会おうと二度ほどアプローチしましたが結局会うことはできなかったようで、もしこの二人に面識があればヘンデルがテイラーに手術を頼むことはなかったかもしれませんね。

テイラーの光



しかし話はこれだけでは終わりません。
手術を行っては土地を変えるということを行ってきたテイラーですが、何の皮肉か晩年、彼自身も視力を完全に失ってしまったのです。
さらにバッハが亡くなった年齢とヘンデルが亡くなった年齢を足して2で割った年齢で亡くなっているのです。

テイラーの手術が今の医療の常識からは考えられない手術を行っていたとしても、当時の医療ではそれで治ると信じられていたのかもしれませんので、短絡的にテイラーに全面的な非があるとは言えませんが、何か因果応報のような様な気がしてきてしまいますよね。
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