交響曲の父

2016/01/06
交響曲の父
人物 雑学

古典派時代の作曲家といえば?



皆さんは古典派時代の作曲家というと誰を思い浮かべますでしょうか?
恐らくモーツァルトベートーヴェンあたりの名前が1番にあがってくるかと思います。
そのモーツァルトが音楽形式を参考にし、ベートーヴェンが師事した作曲家で古典派時代を形作ったといっても過言ではない作曲家がいます。
その作曲家が交響曲の父とも呼ばれるハイドンです。

ハイドンはバロック期から綿々と受け継がれてきたシンフォニア(オペラの序曲)の形式を、現代の交響曲の礎にまで発展させた功績から交響曲の父と呼ばれ、自身も実に104曲以上もの交響曲を作曲しています。
フリーの音楽家からエステルハージ家の宮廷楽長という地位まで登りつめ、音楽に理解の深い侯爵の庇護の下、作曲に専念できたこともこの功績の一因と言えるでしょう。
しかし次代侯爵は音楽にまるで理解を示さず、ハイドンには年金を支払うからと楽団を解散させてしまいます。

しかしこのことがハイドンにとってのひとつの転機となります。
今までエステルハージ家の要求に応える形で作曲を行ってきたのを、年金で生活を保障されている為、自分の心の赴くままに作曲活動をすることができるようになったのです。
この時ハイドン還暦手前。
老齢のハイドンはさらなる活躍を求め、イギリスに渡ります。

これが大当たりで、当時のイギリスの人たちはハイドンの交響曲を聴きにこぞって集まってきています。
イギリスでの永住も考えたハイドンですが、最終的にはウィーンに戻り、当主の変わったエステルハージ家の宮廷楽長に返り咲きます。
最期はナポレオンのウィーン侵攻の最中、息を引き取ります。

この交響曲の父呼ばれるハイドンですが、初期の作品にはバロックの面影が残るものの、晩年の作品は長年廃れない交響曲の礎になるのもうなずける、形式的な美と音の美を味わせてくれます。

イギリス時代に作られた、交響曲第104番「ロンドン」は個人的にも5本の指に入るとてもおすすめの曲です。

ハイドンの首伝説



そんな偉大な功績を残したハイドンですが、死後にとても奇怪な事件に巻き込まれます。

1809年5月31日にウィーンで亡くなったハイドンは翌日に埋葬されますが、本人は長年仕えたエステルハージ家の拠点であるアイゼンシュタットに埋葬されることを望んでいました。
そこで11年経過した1820年、遺体をアイゼンシュタットに移そうと棺を開けると、その頭部が無くなっていたのです。

犯人はすぐに捕まりました。
監獄所長のヨハン・ペーターという男とエステルハージ家で書記をしていたカール・ローゼンバウムという男です。
ペーターは骨相学と呼ばれる、頭蓋骨の形状からその機能を探るという研究の為に埋葬された直後のハイドンの墓をあばき、その頭部を切断して持ち帰ったのです。
一通りの研究が終わるとペーターはその頭部をローゼンバウムに譲ります。
このローゼンバウムは異常なまでにハイドンを崇拝しており、ハイドンの頭部が虫や悪人の餌食にならないように、祭壇に保管しておいたのです。

警察はローゼンバウムの家を捜索しますが、ローゼンバウムは風邪で寝込んでいた奥さんのベッドの下に頭部を隠していたため、発見には至りませんでした。
業を煮やしたエステルハージ家の当主はローゼンバウムに大金と引き換えにハイドンの頭部を返却するように求めます。
これに応じたローゼンバウムはエステルハージ家に頭部を返却します。

しかしそこはくわせ者のローゼンバウム。
返却された頭部を調べたところ若い女性のものであることが判明します。
激昂した当主はローゼンバウムに抗議し頭部を返却してもらうと、ハイドンの意思通りにアイゼンシュタットに胴体と共に埋葬しました。

ところがこれで話は終わりません。
ローゼンバウムが渡した頭部は別の老人の頭部だったのです。

その後もハイドンの頭部は幾人もの手を渡り、1895年にウィーンの楽友協会の所有となります。
長年保管された後に、この本物のハイドンの頭部が胴体と共にアイゼンシュタットに埋葬されたのは1954年、実に145年後のことでした。

今はきっと安らかな気持ちで美しい音楽と共に眠っていることでしょう。
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