モーツァルトのレクイエムに眠る逸話

2015/11/26
モーツァルトのレクイエムに眠る逸話
雑学 楽曲

映画アマデウスの場合



映画アマデウスの終盤、生活に困窮しモーツァルトが病に侵されていく中で一人の来訪者が訪れる。
その来訪者はモーツァルトに大金を渡し、レクイエム(死者のための曲)の作曲を依頼する。
モーツァルトとその妻コンスタンツェには渡りに船の話ではあるが、その来訪者はモーツァルトにとって驚愕の姿をしていた。
モーツァルトの最大の理解者であり、音楽の教師であり、マネージャーでもあり、この直前に亡くなってしまった父、レオポルト・モーツァルトが生前、モーツァルトと共に参加した仮装パーティで着ていた衣装と全く同じ服を着ていたのだ。

この映画ではオペラ、"ドン・ジョバンニ"は父が冥界から復活するストーリーとして捉えられており、その父が冥界からモーツァルトにレクイエムの作曲をしにきたという流れだ。
この父の姿に模していたのは、モーツァルトの才能を誰よりも理解し、それ故に誰よりも嫉妬心を抱いてしまった作曲家、アントニオ・サリエリの仕業ということになっている。
実際にアントニオ・サリエリには、モーツァルトの死因は毒殺で、その毒殺の首謀者という疑惑がかけられていたらしい。

アントニオ・サリエリは憔悴しきったモーツァルトのレクイエムの作曲を手伝うと言って仏の顔で近づき、その心に宿った鬼の部分でモーツァルトを追い込み、最終的には死に至らしめてしまう。

実際にモーツァルトが感じていたこと



モーツァルトはオペラ、"ドン・ジョバンニ"の台本を手掛け、友人であったロレンツォ・ダ・ポンテへの手紙の中でこう書いている。

「灰色の使者に催促されて、僕は僕のためのレクイエムを書いている。」

映画にもあったように実際この時のモーツァルトは生活に困窮していて、大衆オペラの作曲を手掛けて生活費を稼いでいたようです。
さらに病状も進む中で急に大金を積んでレクイエムを依頼してきた使者をとても不気味なものとして感じていたのでしょう。

死の直前のモーツァルトは妻のコンスタンツェに

「僕は誰かに毒を盛られている。」

というようなことを言っていたようです。
それだけ精神的に追い込まれていたのでしょうね。

モーツァルトは現在もそのお墓の場所が分かっておらず、死因は特定できていないというのが現状です。

レクイエム依頼の本当の話



モーツァルトがレクイエムという死者のための曲の作曲中に亡くなったということ、若くして亡くなったこと、異常な体のむくみから毒殺を疑われたこと、フリーメイソンの会員であったこと、お墓が現在も特定できていないことなどから、この話には色々な尾ひれがついて当時から今日まで噂されてきました。

しかしその真実が1964年に解明されることになります。
ウィーン近郊の古文書館に保存されていた記録により、依頼者はフランツ・フォン・バルゼックという伯爵で、自身の妻が二十歳で亡くなった為にその一周忌にモーツァルトが作曲したレクイエムを自身が作曲したと偽って演奏させようとしていたのです。
この伯爵はそういうことを度々していたようですね。

しかしモーツァルトの妻、コンスタンツェがモーツァルトの弟子に依頼しレクイエムを完成させ、正しくモーツァルトの名前で発表したおかげで、この名曲はモーツァルトの作品として今も伝わっているのです。

何か事実は小説よりも奇なりの逆を行く、少しがっかりなエピソードですが、この曲が伯爵の曲として伝わらなかっただけでも良しとしなくてはいけませんね。

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